~ 防塵マスクについての関連記事 ~ 溶接ヒュームの有害性と対策
「溶接ヒューム」とは、金属加工の基本の溶接作業で金属を溶かし接合する際に発生する白い煙のことを言います。
溶接ヒュームは、細かい金属の粉じんです。
大きさは1~数ミクロン。
このうち、肺の中に沈着しやすい大きさは0.5~2.0ミクロンのヒューム粒子です。
溶接ヒューム吸入の急性症状は金属熱と呼ばれます。
全身のだるさや悪寒、吐き気、頭痛などが起こります。
長期間溶接ヒュームを吸入すると、じん肺や肺気腫などの要因となります。
また、この白い煙は見えない場合もあるのでより注意が必要です。
溶接ヒュームを吸入しないようにする方法を下記に挙げます。
・発生源を密封
ロボットなど自動機械で溶接している場合には、ヒュームが外部に拡散しないように、そのシステム全体を集塵ブースで囲う。
・局所排気装置により吸引する
溶接ヒュームが、溶接している作業者の顔面を通過しないよう吸引方向やフード形式を設計し、溶接作業者だけでなく周囲にいる作業者も溶接ヒュームから守ります。
現実的な最も有効な対策と言えます。
・防塵マスクの装着
最も身近で手軽な対策ですが、防塵マスクの使用の作業者への徹底が必要条件です。
現実には防塵マスクの装着が徹底できていないことが多く、日頃からの安全衛生管理の徹底が要求されます。
さらに、溶接作業者が防塵マスクを装着していても、その周辺の人が防塵マスクを装着していないと、その人達は全く無防備で溶接ヒュームを吸い込んでしまいます。
そのため、防塵マスクだけでヒュームの吸入を防ぐのではなく、排気装置の設置など何重もの対策が必要となります。
粉じんが拡散する前、発生源での対策が必要なのです。
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「大気汚染防止法」というのがあります。
そこで「粉じん」と称されているものは、具体的には”物の破砕や選別、たい積により発生したり、飛散する物質”のことを指します。
「粉じん」には、「特定粉じん」と「一般粉じん」があります。
「特定粉じん」は石綿(アスベスト)その他の、人の健康に被害を生ずるおそれがある物質のことです(現在は石綿を規定)。
「一般粉じん」は上記以外の粉じんのことを指します。
「特定粉じん」や「一般粉じん」を発生させてしまう施設を作る場合にはさまざまな条件が伴います。
「大気汚染防止法」によって届出、法律に決められた基準遵守、立ち入り検査など、厳しい規制がもうけられているのです。
また、「労働安全法」の問題もあります。
「労働安全法」では、仕事に伴う危険を防止する責任について定められています。
ガス、粉じん、音、振動、排気や廃液などで労働者の健康が損なわないよう、防止措置をとる義務があるのです。
また「じん肺法」では、粉じん作業に従事する労働者に対して、事業者は定期的な「健康診断」を行うことを義務付けています。
「じん肺」とは、粉じんの吸入によって肺に生じた疾病のことを指します。
ここまで読んでおわかりのように「粉じん」は労働者の健康を害するものと認識され、様々な法律で規制されています。
「粉じん作業」とは、土砂や岩石の積み下ろし、また掘削、坑内での作業、金属の溶接などのことです。
溶接作業で溶接棒が熱でとけて細かい粒子となって空気中に舞うものは粉じんとは認識されません。
そのためにも事業者はまず、労働者が粉じんを吸入してしまわないような対策を考える必要があります。
あらゆる環境改善を試みる義務があります。
散水、排気装置、除じん装置などを用いて、粉じんを少なくするなどです。
そして、そこまでしても十分とは言えない場合、防塵マスクを着用することがとても重要です。
防塵マスクは正しく装着しましょう。
それが、体を守ることにつながります。
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